今シーズンのディレクション アソシエイト・アーティスト

キラリふじみとは

芸術監督 白神ももこ

ゆっくりと辺りを見渡す時間

 今シーズンから田上豊さんと共に芸術監督に就任いたしました、白神ももこです。

 2008年に自分の道を探し倦ねている頃、第二代芸術監督の生田萬さんにレジデントカンパニーとして選出していただき、その後、多田淳之介芸術監督のもとアソシエイト・アーティストとして、あわせて10年強このキラリふじみに関わらせていただきました。

 その間、劇場内でのダンス公演の他、劇場探検ツアー『わくわく☆探険記―キラリの国のあちらがわ』や『モガっ!~記憶はだいたい憶測。』などキラリふじみの空間を最大限に活用した公演、国際共同制作、アトリエでのダンスカフェの企画やアウトリーチ活動など、さまざまなことに挑戦をさせていただく機会をいただきました。

 これまで、私がここにいることで何ができるのか、ということをゆっくりと歩みながら考えてくることができたのも、このキラリふじみの環境だからこそでした。

 池袋から約30分強東武東上線に乗ってきただけで喧噪を離れて深い思考や豊かな観察の時間が持てるのは、自然に囲まれゆったりとした空間で時間が紡がれる、この劇場の良いところでもあります。

 独自の取り組みと価値観をていねいに育て、大らかに発信していくということは、私たちの大切な役割と考えています。

 歴代芸術監督が知恵を絞って取り組まれてきた活動は、どれもここ富士見市にあるキラリふじみでしかできないことでした。

 今までアーティストとして沢山の経験をさせていただいたこの劇場で、田上さんとともに私なりに知恵を絞って参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本年度は、2016年度より取り組んできたダンスをフラットに身近に楽しむ企画『キラリふじみ・ダンスカフェ』をワークショプやこどもステーションなど今ある事業と連携させた企画として、より多くの方々に楽しんでいただけるものとしてリニューアルしていきます。2020年1月には、『キラリふじみ・ダンスカフェ スペシャルコラボレーション』としてジャンルや垣根を越えた公演を企てております。それから毎年秋に行われている地元の農業や商業と連携した『ふじみ 大地の収穫祭』にて、富士見市に伝わる伝統的な獅子舞や文化をリサーチし、芸能部分の充実と富士見市独自の文化を発見、発信、創造していきたいと考えています。

 また、観る、参加する以外に劇場とアーティスト、アーティストと観客、観客と劇場が交わることができる仕掛けを随所に差し込んでいき、関わり方の多様性を広げていきます。

 是非、皆様方それぞれの形で私たちやキラリふじみという空間に会いにきていただけるととても嬉しいです。


芸術監督 田上豊

風光る劇場

 今シーズンよりキラリふじみの芸術監督に就任した田上豊です。振付家の白神ももこさんと二人で務めることになりました。ダンスと演劇それぞれの専門領域で担当する意味合いもありますが、分野を緩やかに越境しつつお互いの目線で相互作用の働くようなユニークな形の芸術監督を目指します。

 キラリふじみでは、これまでに平田オリザさん、生田萬さん、多田淳之介さんなど錚々たるアーティストが歴代の芸術監督を務め、それぞれのカラーで地域に開かれた劇場を創り上げてこられました。その歴史の上に立つにあたり、我々は劇場がさらなる「出会い」の場として機能する魅力的な場所にすることを共通の目標に掲げました。この「出会い」という言葉の中には、人と人、人と芸術、人と文化、アーティストと富士見市など、多様な種類の「出会い」が内包されています。これまでキラリふじみが取り組んできた「創造、鑑賞、普及育成」という三つの指針に加え、「交流(出会い)」の要素を随所に散りばめ、劇場のさらなる発展を目指します。

 芸術監督に就任して初の公演としましては、キラリふじみ×東南アジア=舞台芸術コラボレーションvol.3『KIN-BALL(仮)』を6月に上演します。これは、キラリふじみが2017年度より三カ年計画で行なっている東南アジアとの共同制作の第三弾です。フィリピンのシアターカンパニーPETA(Philippine Educational Theater Association)との合作で、すでに何度もお互いの国を行き来して創作を進めています。クリエーション期間にPETAのメンバーとも触れ合える機会もありますのでご期待ください。

 キラリふじみは、市民も、第一線で活躍するアーティストも、新進気鋭のアーティストも、海外のアーティストも、誰もが垣根なく集う日本でも他に類を見ない市民文化会館です。そういう劇場だからこそ、数多くの良質な作品が生まれてきたのだと思います。

 そこに私たちがさらなる出会いを促し、様々な交流を生み出す。そして劇場を起点とした循環性を持つ渦を生み出すことができれば、キラリふじみにさらなる新しい風が吹き込んでくると確信しています。良い風が吹くところに人は集まる。人が集まり広場ができる。白神さんと二人三脚でキラリふじみという広場を創造し、発信していきますので、これからもキラリふじみを、どうぞよろしくお願いいたします。



アソシエイト・アーティスト

キラリふじみは、アソシエイト・アーティストと舞台芸術の創造を中心としたプロジェクトに継続的に取り組んでいきます。