今シーズンのディレクション アソシエイト・アーティスト

キラリふじみとは

芸術監督 白神ももこ

劇場での新たな集い方

 キラリふじみの芸術監督となって一年がたちました。

 昨年度はおなじみダンスカフェ、こどもステーションpulsなどの企画に主催事業の公演のバックステージツアーや、出演者との交流などを組み込み、それぞれの事業をリンクさせることで劇場での活動をより身近に感じられるよう田上さんや職員そして富士見市役所とも連携して参りました。

 ダンスカフェスペシャルコラボレーション『幻想曲』では公募で集まった「何かをつくりたいひと」たちとダンサーや音楽家、舞台スタッフと共にワークショップなどを通して一人ひとりのアイデアを積み重ね、一つの舞台を作り上げました。

 今、人類の生き方に大きく影響を及ぼしている新型コロナウイルス感染症により大切に積み上げて来た公演や子どもたちのワークショップなど多くの事業が中止となり、文化芸術、劇場も大きな打撃を受けることとなりました。『劇場』というものの有り方自体を問われていると感じます。

 今年度のラインナップも大人から子どもまで様々な人たちが“劇場に集う”ということ、“触れ合う”こと、そして“知る”ことに重点を置いています。

 7月に親子向けのイベント、市民参加型の群読音楽劇『銀河鉄道の夜』や恒例のこどもステーションplus、ダンスカフェなども、進行や形態を変えながらどうにか文化のインフラを絶やさぬよう田上さんと知恵を絞ります。ダンスとしては、12月に、akakilikeという京都のカンパニーに昨年9月に上演された『眠るのがもったいないくらいに楽しいことをたくさん持って、夏の海がキラキラ輝くように、緑の庭に光あふれるように、永遠に続く気が狂いそうな晴天のように』を上演していただきます。ダンサー・振付家である倉田翠さんは、ダンサーに限らず様々なコミュニティの人たちと作品を作ることが多くこの作品には京都ダルクの方々が出演します。誰もが与えられているささやかな人間の営みを再確認する、ぜひ多くの人に観ていただきたい作品です。

 3月には田上豊が高校生と作る作品も予定しております。

 自分とは違う文化や経験、考えを持っている人たちがこの地球に沢山生きていてお互い理解し合い共存していくことを文化芸術は助けてくれます。

 この年間プログラムも私たちと意見交換できる仕組みを取り組む等、お家にいながらもご自分に合ったかたちで劇場に参加するために活用していただけると嬉しいです。


芸術監督 田上豊

今日まで、そして明日から

 令和の誕生とともに芸術監督に就任し、今まで以上に創作やアウトリーチに精を出し、一年かけて来年度の事業計画なんかを粘り強く協議していたら年度の最後に新型コロナウイルスが襲ってきました。なんと目まぐるしい一年目だったことか。総括してる暇もなく、二年目がスタートです。

 今年度は、「ふらりと立ち寄れる、さらに長時間過ごせる」をスローガンに「開かれた劇場」の形を探す冒険のような一年として取り組んで参ります。ただし、年度の前半期に施設の大規模改修が入るので、普段よりも使用期間が限られます。しかし、その分、再オープンとなる夏以降は、サーカスバザールや親子向けのフェスを皮切りに、あの手この手で毎月皆さんに楽しんでいただけるように事業を展開していく所存です。どうぞお楽しみに。

 年間プログラムの中で特に注目して頂きたいのは、12月のダンスの招聘公演です。京都のカンパニーakakilikeの振付家・倉田翠さんの作品がやってきます。白神さんが選定した演目で、キラリでの念願だったダンスの招聘作品です。絶対にご期待ください。また、演劇では、9月の市民参加企画「群読音楽劇・銀河鉄道の夜」をお勧めいたします。詩人で演出家の能祖將夫さんをお招きし、厚生労働省の児童福祉文化財にも指定された今作をキラリふじみバージョンに再創作して頂きます。宮沢賢治の祈りをモチーフにした独創的な群読です。ぜひ、奮ってご応募ください。新しい出会いがあなたを待っています。

 最後に、コロナ禍による未曾有の事態によって、文化や芸術の必要性、地域における劇場の役割について考え直さざるを得ない日々が続きました。何もできない自分の非力さに唇を噛み締めながら、一日も早く平穏な日々が戻って来ることを願い、祈ることしかできない歯がゆさ。それでも、私たちは、芸術文化の力を信じています。もしかすると、アートの出番はもっと先になるかもしれない。それでも私たちは、前進するしかない。なんせ、今年度は冒険の年なのだから。